たった一つの願い

京都・二条城のすぐ脇に神泉苑という真言宗の寺がある。
平安時代に建てられ、当時は「天皇のための庭」としてかなりの規模を誇っていたが、徳川家康が二条城を建立する際にその敷地の大部分が二条城に取り込まれ、今ではかなり小さな庭になっており、知らない人なら素通りしてしまいそうなくらいだ。
この寺の庭には池があり、そこに赤い小さな橋がかけてある。

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この橋には伝説があり、願い事を唱えながら橋を渡ると、どんな願い事も叶うのだという。ただし、それが使えるのは一生にただ一度だけ。
ワシと嫁は去年もここを訪れたのだが、この伝説は知らず、橋は渡らなかった。つーか、ぼんやり何も知らずに渡らなくて良かった(笑)。
今年はガイドブックでしっかりチェックし、2度目の挑戦。
しかし、橋を前にして躊躇した。
いったい何を願おうか?
・・・・・願い事はたくさんある。お金に健康、出世もしたいし子供も欲しい。世界一周とかしたいし、そのためには自由な時間も必要だ。おっと、世界の平和も祈りたい。・・・・・う~む、この「たった一つだけ」というのがミソだな。
人は誰でも、何か特別な願いを持って生まれてくる。
そして、その願いが何だったのかを自力で見つけることは人としての義務でもある。もし霊能者とか教祖様に自分の願いを教えてもらおうとするならば、それは義務の放棄だ。そんな人は「本当の願い」を見つけられないまま、欲の皮の突っ張ったインチキ霊能者に振りまわされて一生を終えるだろう。

ワシと嫁は、しばらく考えた後、手をつないで一緒に橋を渡った。
たった一つの願いを念じながら。

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