霊性と情熱のあいだぐらい

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<<   作成日時 : 2011/03/25 16:43   >>

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3月11日午後2時46分。このとき私は、自宅近くの畑で作業をしていた。
地鳴りと共に突然の激しい揺れ。立っていられなくてその場に座り込んだ。石巻はもともと地震の多い地域なので、震度6弱の地震なら、これまでも何度も経験している。でも、立っていられないほどの揺れは今回が初めて。これはヤバイ、と思った。少し離れたところの民家の窓ガラスが割れたり、電柱が倒れるのが見える。一旦揺れが収まったので、車に乗り込もうと歩き始めたら、すぐに2度目の激しい揺れ。その場で四つんばいになった。
ケータイを取り出し、妻に電話したが、つながらず。災害の時はよくあることだ。宮城県民は日本のどこよりも地震に慣れているし、建物も頑丈だ。落ち着け、落ち着いて行動しろ、スイレン。
自宅まで車で5分ほどだが、近所の家は瓦が落ち、道路も激しく陥没している。家の中に入ると壊れた食器や窓ガラスが散乱。買ったばかりの液晶テレビも根本が曲がってしまっていた。電気がつかない。停電か。
あまりの惨状に、不安になって、もう一度妻に電話。今回はつながった。
妻は石巻市街中心部でアルバイトをしている。
「怪我はないか?」
「大丈夫。別にそれほどこっちは被害はないよ。ただ、電気が消えたから、今日は帰っていいって言われた。」
「そうか、バスとか電車が動いているかどうか分からないから迎えに行くよ。石巻駅前で待ってて」
「分かった」
「停電していて、信号がついてないから渋滞していると思う。ちょっと時間がかかるかもしれないけど、いいかな?」
「うん」

石巻中心部に行くには三陸自動車道という高速を使うと早い。
ところがインターの入り口には早速バリケードがしてあって通行止めになっていた。
土手沿いの迂回路を行くことにした。あちこちで全壊した建物が道路に覆いかぶさり、警察官や消防団員が交通整理をしている。ブロック塀は無傷のウチはほとんどないといっていい。それにしても災害の多い地域だけに、消防団や警察の行動は迅速だ。

北上川沿いの土手に上がる。
すると今まで見たこともないほどの水量でおびただしい数の材木が川を逆流している。その位置は河口から5キロぐらいは離れている場所なのだが、今にも溢れそうなほどの泥水が川をさかのぼっている!
津波か
事態の深刻さにようやく気づいて、車のラジオをつける。
「あ〜、私は今信じられないものを見ています。仙台空港が濁流に完全に飲み込まれました。」
いきなり、アナウンサーの悲痛な叫びが聞こえる。
ヤバイ、ヤバイぞ!あの大量の材木は、すでにどこかの街が押し流された証拠だ。
ケータイは何度かけてもつながらなくなった。国道45号線に入ったとたん、渋滞で車は完全に動かなくなった。まだ、市の中心部までは4キロ以上ある。別のルートで行こうかと思案している時にようやくケータイがつながった。
「スイレンさん。いま駅前にゴミが流れているよ。たぶん、ここまで車でこれないと思う。」
「こっちも動けなくなった。」
「蛇田か中里まで歩いていこうか?」
外は強い雪が降り始めていた。
「無理するな。雪が降ってるのに、足が濡れたら凍傷になるぞ。」
「分かった。いま市役所に避難しているから、水が引いたら迎えに来て」
石巻市役所は駅前のデパートだったところを改造して造った6階建ての建物だ。あそこなら大丈夫だろう。
「水が引いたら電話しろ。夜中にでも迎えに行くから」

そう言って私は引き返し始めた。
この時点で私たちはまだ事態の深刻さを本当に理解してはいなかった。

停電しているし、固定電話もつながらなくなったので情報はほとんど入らなかった。
消防団員専用の災害ダイヤルに電話してもつながらない。いったい、今何が起こっているんだ?

夜7時。
電話がつながらないので、独自の判断でもう一度、中心街に向かう。
市の中心部が火事なのか、煙が見る。雲がオレンジ色に染まっていた。
道路のあちこちが陥没。マンホールだけが50センチ以上も飛び出していて走りづらい。街頭もないから真っ暗だ。でも、渋滞はやや緩和されていて、何とか走れる状態ではあった。
駅前に向かう道路が冠水していて通行止め。
迂回して開北橋側から市内に入ろうとしたが、そこも冠水していた。立ち往生した車が次々に停止していく。水位は見る見る間にあがってくるので、強引にUターンして退避した。迷っていた人たちは恐らく車を失っただろう。
もう一度駅前通にまわり、歩いていこうと思った。真っ暗な闇の中、水位は明らかに上がってきている。無理だ。ここで無理したら確実に死ぬ。でも、何とか妻に連絡をとらないと。
水際でしばらく携帯を連打していたらようやくつながった。
「今晩は無理だ。明日の朝、迎えに来るから、今日は市役所に泊まれ」
「分かった。ここは長椅子もあるし、他にもたくさん避難民がいるから大丈夫。」
「アサイチで迎えに来るからな。一晩は我慢な」

帰ろうと車に乗り込んだが、帰る方向が通行止めに!マズイ、45号線も冠水している。すでに道路の水位は20センチほど。迷っていたら、ここで孤立する。
マフラーに水が入らないように、全開でエンジンをふかす。前方でゆっくり走る車にクラクションを鳴らしながら強引に追い抜いた。車高の低い車がすでにあちこちで立ち往生している。私の車はオフロード用の車高の高い車なので何とか走れているが、10分もしないうちにこいつも動かなくなるに違いない。
水はすでに海から4キロ近く離れている国道を越え、農地に流れ込んでいた。日本赤十字病院の回りも冠水し、盛り土をしてある病院の建物と駐車場だけが島のように浮かんでいた。

何とか水没地区を抜け出し、家にたどり着く。
妻の実家や、私の兄弟に無事を知らせる電話をした。
ケータイのワンセグ機能で情報収集。沿岸地域がすでに壊滅状態にあることを知る。
翌朝、水は北上運河のラインまで後退したが、その位置から数日間にわたり水位は下がらなかった。
水没地区の端っこから、市役所まで約600メートル。建物は見えているのに、連絡手段も、連れ出すこともできないなんて・・・・。持病を持っている妻の薬の残量も気になる。市役所の一階は食料品店だが、恐らく水没しているから食料もないだろう。
私と同じように、水没した街の中に家族がいる人たちが何百人も北上運河の周辺に集まり、途方にくれていた。

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